【介護のワークライフバランス議論】休みは多いほうが良い?勤務時間の短い方が良い?

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介護職のワークライフバランスに関する実験的取り組みが宮城県で行われようとしている

介護施設で週休3日!?

最近話題になったニュースがありました。私も気になったので以下のようなTweetをしました。

宮城県が定着の為にバックアップしているようです。

働き方の改革にむけて企業任せでないのは大切なことだと思います。

休みが多い vs 勤務時間が短い【Twitterで聞いてみました】

さて、「週休3日制」というワードから、そもそも「休みが増えるって良い働き方なのだろうか?」という素朴な疑問が生まれました。

そこで先日Twitter上でこのような質問をさせて頂きました。お答えくださった皆様ありがとうございました。

Twitterでの声は?

結果は以下の通り

休みが多い 57%
1日あたりの勤務時間が短い 43%

私が行った小さなアンケートでは休みが多い派勤務時間が短い派を14%上回る結果となりました。

ただ、大きな差が開いた訳では無いので、休みが増えることが一概に良いとも言えないかもしれません。

「通勤時間や手段」にストレスがある方なら、その頻度が減らせるように「休みが多い」を選ぶかもしれません。

「自身の抱えている業務量や責任が多い」という方は「休みが増えても、結局出勤しないといけない」と仰るかもしれませんね。

私の場合は、休みが増えることは気持ちの上では楽になりますが、「増えた分のしわ寄せが他の日に来るのでは無いか」という不安も同時に感じます。

投票結果には表れていませんが、職場環境も解答結果に影響を与えたのではないか、と考えています。

介護施設のワークライフバランスについて考える

「良い働き方」の定義は人によって異なるでしょう。

しかし、「良い働き方」を考える上で必ず押さえておくべき考え方はあります。

ワークライフバランスです。

言葉は有名ですが、説明できる、しっかり実践しているという方は少ないのではないでしょうか。

ワークライフバランスとは?

「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」

ワークライフバランス憲章より

もう少し詳しく述べたのが以下になります。(「仕事と生活の調和」推進サイトより)

(1)就労による経済的自立が可能な社会
経済的自立を必要とする者、とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。

 (2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。

 (3)多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。

ワークライフバランス憲章についてはこちら

現場の声は反映されているのか?

ワークライフバランスの実現には、業務内容の見直しが必須です。それは誰もが理解していることだと思います。

しかし、ワークライフバランスが提唱されるようになって10年以上経ち、政府が「働き方改革」を進めてはいますが、多くの職場ではあまり進展していないような気もします。

なぜか。

一つ考えられるのは、「政府主導で、企業や労働者など当事者・現場の意見が充分反映されていないから」ではないでしょうか。

働き方改革は「成長戦略」の一つとして進められています。

あくまで重点が置かれているのは日本という国レベルで成果を上げることだと言うのは認識しておくべきだと思います。

政府は有識者の意見は聞き入れていると思いますが、その方たちは大方が有力企業の経営者や研究者です。

検討する際の視点が大きくなりがちなので、方針は定められると思いますが、具体的にどうすべきなのかという点は結局のところ現場に委ねられます。

経営者や管理職がしっかりするべき?

確かに、管理職のマネジメントは従業員の働き方に直結します。業務の分担や残業管理など管理職の手腕が問われます。経営者のマネジメントはさらに大きな影響を与えます。

でも、経営者や管理職が頑張るだけでは恐らく不十分です。職場の全ての人が協働する必要があります。

協働すること

協働するには目的の共有することが必要です。

私たちは意図していなくても、自分中心で、自分の価値観で見てしまうことがあります。

そして相手が意図していなくても、自分なりに意味を受け取ってしまうこともあります。

職場でも目的の共有が不十分なあまり上記のことが起きてしまいがちです。

管理職が意図していなくても、部下からは「人にばかり仕事をさせて上司は何もしない」など誤解を与えている場合があるかもしれません。

反対に上司→部下への誤解もあると思います。

それらを防ぐ方法が、目的の共有です。

「これは〇〇のためにすること」と常々目的が共有されることで誤解が生じるリスクを減らすことができます。

協働に関する記事はこちら

ワークライフバランス>利益

企業としての最終目的は利益を上げることなのかもしれませんが、あくまで「最終」です。

途中で通過する目標に達することができないと、辿りつけません。

終着駅に向かう途中の駅で事故が起きればそのまま進むことはできません。

つまり途中駅が「ワークライフバランス」でもあるのです。

うやむやにしていると、休退職者が出る恐れが高まるだけでなく、状況によっては事故や訴訟の一因となる恐れは十分にあります。利益はおろか、大損失です。

評価する側はもちろんのこと、働く側もその考えを持っておく必要があります。

決して、短期的な目先の考えで、ワークライフバランスを犠牲にしてはいけません。

介護職のワークライフバランスはこれからどうなる?

変わる雇用の仕組み

雇用の仕組みは、従来の姿から大きく変わっていくことと思われます。

同一労働同一賃金がいよいよスタートします。これまでの正規労働者と非正規労働者という構図は崩れていくでしょう。

そしてシェアリングエコノミーの影響を受け、雇用に依らない働き方が介護業界でも広まるかもしれません。

介護のスキルシェアサービスはスケッターを始めとするサービスが成長拡大を見せ始めています。

介護現場のワークライフバランスはどうなる?

マネジャーに求められる役割や期待は大きくなる

介護業界のワークライフバランスバランスには

人材不足解消

待遇改善

AIやIoT活用による業務改善

など課題が山積みです。

現場のマネジャーに求められる役割や期待が更に大きくなるのではないでしょうか?

ただでさえ複雑な状況を対処し、自らも含めて全員がワークライフバランスを実現できるようにする。

それは、とても荷が重すぎる役目です。

産業ソーシャルワーカーとの連携

現場のマネジメントが複雑化し、ハラスメントやコンプライアンスへの理解も求められるようになった現在、マネジャーが単身で取り組むことはほぼ不可能です。

今後の職場の変化に合わせて、対応するためにも企業マネジメントに対する理解を得ている社会福祉士や精神保健福祉士に産業ソーシャルワーカーの積極的な配置と活用が必要だと思います。

産業ソーシャルワーカーは知名度が低いですが、企業スタッフへ就業上の困難に対する支援を企業スタッフと協同して行う役目が期待されます。

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