介護とAI〜数年後にはAIがケアプランを作る?

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介護現場の課題とAI

慢性的な人員不足

介護業界は人手不足が続いていますが、この業界でもここ2〜3年の間にAIの技術開発が進んできているようです。

2018〜2019年の間には政府と民間の研究発表も続けて出されています。

人材確保だけで無く人材定着も難しい。

そんな介護業界こそAI(人工知能)の活躍が望まれているジャンルと言えるのではないでしょうか。

ケアマネジャーを悩ませるケアプラン作成の煩雑さ

多い方で50件前後のケアプランを抱えているケアマネジャーもいらっしゃいます。(もしかしたら更に多いという方も?)

そもそも介護保険法は複雑です。施設区分に至っては25種類53サービスと細分化していて、サービスを利用者一人一人に合わせて選ぶことは容易ではありません。

また、利用者自身の諸事情もケアプラン作成時に関わってくるのでサービスとのマッチングも悩ましいところです。

ケアプランはケアマネジャーが一人一人の心身状態、家族など周囲との関係、経済状況などを聞き取り、ケアプランに落とし込んでいきます。

この作業には多くの時間がかかり、ケアマネジャー自身のオーバーワークに繋がる恐れもあります。その一方で利用者一人一人に対するケアマネジャーの責任は大きいので、手を抜く訳にもいきません。

「そんな何もかもできない、疲れた」それが本音かもしれません。

しかし、ケアマネジャーの皆さんに朗報です!

そんな業務の煩雑さに着目した AI活用があります。

ケアマネジャーの業務負担を減らしていくことが期待できる、AIの可能性について以下で見ていきましょう。

介護とAI ケアプランへの応用

3事例を紹介

CDI Platform MAIA(株式会社シーディーアイ)

なんとCDI Platform MAIAは既に製品化・実用化されています。

2018年10月から「日本初のケアマネジャー向けAIサービス」として提供開始。

自立支援・重度化防止の視点を重視して設計された点が大きな特徴と言えます。

CDI Platform MAIAの主な特徴や仕様

・介護を必要とする人のADL(日常生活動作)心身の状態などを入力すると、AIが地方自治体が集積した膨大なケアプランのデータをもとにその人に最適なプランを選び出す

・介護を必要とする方の状態に応じて、3種類のプランを提示。そのプランをもとにケアマネジャーがサービスの追加や変更をすることが可能

・選んだプランを実施した場合に利用者の状態はどうなるか、予測をグラフで表示

最新情報

シーデイーアイは2019年12月には介護・福祉業界で業務支援システムにおいてトップクラスのシェアを誇るNDソフトウェアとの資本業務提携を発表しました。

NDソフトウェアのシステム「ほのぼのシリーズ」は全国で約4万2000社が導入しているそうです。

これはもしかするとケアマネジャーとAIの距離が一気に近づくかも知れません。今後の動きにも注目しておきましょう。

株式会社シーディーアイのサイト

CPA:ケアプランアシスタント(株式会社ウェルモ)

2020年に実用化を目指す。

もうすぐですね。

CPA(ケアプランアシスタント)の目的は、ケアマネジャーが抱える知識差をなくし人的ミスを未然に防ぐよう支援すること。

ケアマネジャーの受験資格は介護福祉士、社会福祉士、看護師、柔道整復師など多分野の専門職に与えられます。つまりは、養成教育も経験も異なりケアマネジャー1人1人でも専門性が異なるということです。資格の制度上どうしても生じる事案なのですが、その点をこのAIは網羅しようとしています。

CPAの主な特徴と仕様

・AIが看護・介護・リハビリ職の知識と経験を学習し利用者に合わせたケアプランの候補を提案。あらゆる職種に分散する要素を網羅して学習することで、抜け漏れないケアプランを作成するための情報を得ることが可能になります。

・ケアプラン第2表「解決すべき課題」に記入すべき文章の候補を選定

・利用者の持つ課題に合った介護施設の選定

株式会社ウェルモのサイト

クラウド型AI パッチリ(イデアルファーロ株式会社)

障がい者向けケアプラン作成支援ツール 2020年の実用化を目指す

IBM Watson®と協働し独自開発。誰でも簡単に、プロクオリティで障がい相談支援計画が可能になることを想定。最大の目的はアナログな福祉現場の効率化。

パッチリの主な特徴や仕様

・トータル155項目のアセスメントをWatsonの自然言語分類であるWatson Natural Language Classifierに学習させており、ケアマネージャーが自然言語で入力した障がい者本人のニーズをもとに支援目標を提案させるクラウド型のシステム

・利用者の状態をICF(国際生活機能分類)の理念をもとに分類し、Watsonに学習させている

株式会社イデアルファーロのサイト

AIをケアプラン作成に用いることが介護現場への貢献につながる

ケアマネジャーの補佐役として期待

ケアプラン作成におけるAIの役割としては、ケアマネジャーの業務を補佐するものとして研究や開発が進められているようですね。

機械にイメージしがちな効率偏重という訳でもなく、自立支援や重度化防止に価値が置かれていますので、私たちが叶えたい理想に近づく為の相棒やサポーターとしての役目を AIに期待して良いのかもしれません。

MAIAやCPIは数年内にはケアマネジャーの実務に大きく関わっている可能性があります。製品として純粋にシェアを拡大していくかもしれませんし、業務提携により既存の業務支援ソフトの機能拡大に一役買っていくでしょう。

あくまでもケアプランを作るのはケアマネジャーであるというのは変わらないと思いますが、業務の効率化とサービスの質向上を格段に進むのは確かです。

介護の質向上、業界の発展へ

質の高いケアプランが提供されることは現場でのサービス向上にも繋がります。

これまでは介護職員の経験に頼りがちであったサービスが、蓄積された有効なデータを基に提供されることでエビデンス(根拠)が明確になります。

根拠に基づいたケアが継続的に提供されることは、AIにとっては有効な学習データの増加を意味します。

それは好循環ですね。

AI技術の進歩は、介護業界にも身近になりつつあります。明るい話題を届けてくれるものとして今後の進展に注目してみてはどうでしょうか。

AI活用において不安な点については、別の記事で「AIは本当に活用できる?」という内容も書いています。こちらも読んでみてください。

今回も読んで頂きありがとうございました。

コメント

  1. […] 前回記事で「AIがケアプランを作るようになる?」と題してケアプラン作成業務に AI活用が進められているというお話をしました。 […]

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